現在日本では、キャッシュレス社会の実現のために、国を挙げてインフラの整備を行っています。
その中心となるのが、クレジットカード。
私たちは日常当たり前のように使っていますが、その仕組みや歴史はあまり知りません。
これから加速する、キャッシュレス社会にうまく順応するためにも、この時期にこそ、基礎知識を学んでみるのはどうでしょうか?
まずは、クレジットカードの基礎知識と歴史を解説します!
クレジットカードとは?
クレジットカードを勉強するにあたって、まず理解しておきたいのは、クレジットカードは、カードを使う消費者の「信用」によって成り立っているということです。
私たちはモノやサービスを購入する際、お金を支払う必要があります。
しかし、クレジットカードはそのお金を払うことなく、売買が成立してしまいます。
つまり、クレジットカードを持つ消費者に「信用」があるということを、クレジットカードの会社が証明し、それにより消費者は現金がなくても、欲しものが手に入り、お店も売り上げ機会を逃すことなく、経営をしていけるというわけです。
それでは、クレジットカード誕生の歴史も含め、その仕組みを詳しく解説していきましょう。
クレジットカード誕生の歴史
「ツケ払い」という言葉を聞いたことはあるでしょうか?
これは、古くは江戸時代から、町の人々の生活の中で行われていたと過去の文献にも残っているようです。
顔なじみのお店で、その都度会計をするのではなく、後でまとめてという方法です。
このツケ払いも、その人個人をお店の人が良く知っている、「信用できる人がわかる」ことから成り立っているといえます。
クレジットカードの仕組みと比べると、その人を信用する人が、お店の人なのか、クレジットカード会社なのか、その違いはあるものの、ほとんど同じような仕組みで成り立っているといえるでしょう。
クレジットカードが誕生したのは戦後
世界的にみると、このクレジットカードが誕生したのは、1950年代頃のようです。
諸説ありますが、第二次世界大戦が終わったころに、アメリカのダイナースクラブが設立されたのが始まりのようです。
ダイナースクラブの歴史によると、飲食店で、財布を忘れたお客様のトラブルからヒントを得て、カード作りの第一歩がスタートしたようです。
要は、顔なじみのお店ではないところでも、ツケ払いができないか、お店側も、お店を利用するお客側も両者の希望を満たすことができるように、仕組み化していったのです。
私たちがよく知る、アメリカンエキスプレス、VISA、Mastercardなども、この頃から、前身のカード会社が設立され、サービスを展開していきました。
日本のクレジットカードの始まりは?
私たちが住む日本においては、戦前からあった「月賦販売」という、商品代金を月々の支払いにする販売スタイルを、クレジットと呼ぶようになったことが、始まりといわれています。
1960年に入り、月賦販売を行っていた会社が、クレジットカード事業に参入しました。
現在のエポスカードである「丸井」、現在のOMCカードである「丸與」、現在のクレディセゾンである「緑屋」、という大きな呉服屋が、この頃から、割賦や月賦といわれていた支払いシステムを、「クレジット」と呼ぶようになりました。
その後、銀行がクレジットカード事業に参入し、日本国外でも、クレジットカードが使えるという仕組みが誕生していきます。
日本唯一の国際ブランドのクレジットカードである、現在のJCBカードは、1961年に誕生しました。
そのJCBは、現在の三菱UFJ銀行である「三和銀行」と、現在の三菱UFJニコスである「日本信販」が作った、クレジットカード会社ですが、銀行という特性を生かし、クレジットカードの代金を、銀行口座から自動引き落としにする制度を導入し、社会に大きな影響を与えました。
クレジットカードの基本的な仕組みは、発祥地のアメリカをお手本にし、日本的な要素を加えてカードの普及を図ったといえるでしょう。
クレジットカードの仕組み
最後に、クレジットカードの基礎知識として、その仕組みについて詳しく解説します。
普段当たり前のように使っているクレジットカードですが、意外とその仕組みは知られていませんので、知っておくといいでしょう。
お金の動き
まずお金の動きです。
私たちがお店で商品を購入し、クレジットカードで支払いをします。
お店は、クレジットカードの決済を担当している会社に対し、その代金を請求します。
クレジットカード会社は、一定の間にカード払いした金額を、まとめて私たちに請求し、一般的には銀行口座から支払いを行います。
その後、私たちからお金を集めたクレジットカード会社が、カードが使われたお店側に、責任をもって支払いを行います。
実際には、カード会社からお金を集めるより先に、お店側に支払いをしてしまっているようです。
代金回収の仕組み
先ほどのお金の動きをみると、このクレジットカードの仕組みは、クレジットカード会社が責任をもって、お金の管理をしているからこそ、成り立つということが分かります。
そうでないと、プラスチックでできたカードを見せて、「これで買わせてください」ということは絶対に無理ですね。
クレジットカード会社に絶対的な信用があるからこそ、お店側もお客様に商品を販売してくれるという仕組みが成り立つのです。
そのため、クレジットカード会社は、このカードを信用するに値する人にだけ、カードを発行し使わせているのです。
クレジットカードを使用するための入会審査が厳しいのはそのためです。
カード会社の儲けのしくみ
最後に、クレジットカードをビジネスの視点で見てみましょう。
どのように利益を得ているかを知ると、よりクレジットカードの仕組みを理解できます。クレジットカード会社の立場、お店の立場、そして私たち消費者の立場から解説していきます。
まず、お店側の立場としては、クレジットカードの利用を可能にすると、カード払いを希望するお客様が来たり、高額な商品でも売れやすくなります。
欲しい商品があった場合、現金の持ち合わせがなくても、すぐに商品を購入できるためです。
こういうメリットを受けるために、お店はクレジットカード会社に対して、加盟店手数料を払う必要性があります。
次に、クレジットカード会社ですが、お店に対して、お客様がクレジットカードで支払ったお金を振り込む必要があります。
その際、先ほどの加盟店手数料を差し引いた金額を振り込みます。この手数料が、クレジットカード会社の利益となります。
クレジットカードを利用するメリットに、ポイントが貯まるというものがありますが、これは、手数料という利益の一部を利用者に還元するということで成り立っています。
最後に、クレジットカードを利用し、お店で商品を買う私たち消費者ですが、クレジットカードを使って、商品をより購入しやすくなり、更にカードを使うことで、ポイントを獲得できると良いことばかりのように思えます。
このように、クレジットカード会社、お店、消費者と、3社それぞれにメリットがあるからこそ、このように広く普及したのだといえます。
まとめ
クレジットカードの、歴史からその仕組みまでを解説しました。
当たり前のように利用している私たちにとって、このような仕組みまでを知る機会はほとんどありません。
この仕組みを上手に利用することができれば、多くのメリットも受けることができます。
ただ、一つ気を付けなければいけないことは、カードの使い過ぎです。
せっかく得たカード会社からの信用を無くさないように、上手に利用していきましょう!